秋のワンポイントアドバイス

皮膚科専門医より、秋のワンポイントアドバイス。

空気が乾燥し始める秋口は、さまざまな肌のトラブルを招き、シミやしわの原因になったりします。

秋は湿度が低くなるため、お肌が乾燥しやすくなり、かゆみやかぶれの起きやすい時期です。

夏の紫外線で肌がダメージを受け、肌のバリア機能が低下しているところに、空気の乾燥によって角質層の乾燥と皮脂膜による防衛能力が正常に機能しない状態になっており、ちょっとした刺激でかゆみを感じやすくなっています。

さらに、そのかゆみによって肌を掻きむしって、状態を悪化させてしまうサイクルに陥ってしまう可能性があります。

冬が訪れる前に、肌を正常な状態に戻しておく事をおすすめします。

肌が乾燥しカサカサ感が気になるとき、肌がかゆい時は、まず保湿が大切です。

乾燥肌の市販薬のなかでの主流となっている尿素は、肘、膝、かかとなど、角層が肥厚している部位には用いられますが、医療現場において、広く乾燥肌の改善を目的に使用されるのはヘパリン類似物質です。

乾燥肌がなかなか直らない、かゆみが治まらないなどの場合は、是非ご相談ください。

秋のアレルギーの原因 ダニ

ダニは湿度が上がり暑くなる梅雨の時期から増殖します。寿命は2、3か月ですので、湿度も低く涼しくなる秋になると死滅し、布団や床などに、その死がいやダニのフンがハウスダストとしてたまってしまいます。

これらがアレルギー症状を引き起こしたり、皮膚疾患においては、じんましんやアトピー性皮膚炎を引き起こす原因になる事があります。

ダニのフンは水に溶けて落ちやすいので、週に1回シーツや布団カバーを水洗いするなど、掃除を徹底することで、ダニの死がいやフンを取り除く事ができます。
洗うことが難しい場合は、週1回以上、布団の両面を天日干しをする事で、湿気が取り除かれダニの繁殖を抑えられます。
その際に、朝晩や雨上がりは避けてください。逆に布団に湿気を取り込んでしまいます。

また、天日干しだけでは取れない、死がいやフンを取り除く為に、ふとんの両面に掃除機をかけてください。

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かいせん(疥癬)

疥癬の原因

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニという小さなダニが皮膚の表層に寄生しておこる皮膚の病気です。

ヒゼンダニは0.2ミリメートルから0.4ミリメートルの白っぽい体をしていますが、肉眼で虫体を見分けるのは困難です。

感染経路として、皮膚と皮膚が接触することによる感染、寝具の共有などによる感染、角化型疥癬(重症型)の患者さんを介した感染などが上げられます。

ヒゼンダニの感染力は弱く、健康な人には感染しにくいと言われていますが、家族内や介護施設などで疥癬の患者さんと長時間接する機会がある場合には注意が必要です。

疥癬の症状

虫や糞に対するアレルギー反応により、激しいかゆみを伴う小さく盛り上がった皮疹が体中に出ます。

しばしば湿疹、虫さされ、じんましんなどと似た病状がみられますので、皮膚科での顕微鏡を使った検査をおすすめします。

疥癬の治療

治療は外用薬および内服薬が使われます。

外用薬はクロタミトン(オイラックス®)が主に使われます。外用にあたっては、首から下の全身に塗り残しがないように塗り、特に手や足、外陰部には念入りに塗ります。

内服薬はイベルメクチン(ストロメクトール®)という内服薬が保険適応になっており、1回の内服にて約10日間継続する強い駆虫効果が報告されています。