早漏に悩むのはあなただけではありません。
射精障害においては最も罹患者が多いとされていますが、早漏は適切な治療により改善する可能性が高い症状でもあります。
早漏の原因や防止法を知り、自身にあった改善方法を実践していきましょう。
目次
早漏の主な3つの原因
主に以下の3種類に分類され、場合によってはこれらの組み合わせで生じるものと考えられています。
過敏性早漏 | 陰茎周辺の感覚が敏感で、わずかな刺激ですぐに射精してしまう |
---|---|
心因性早漏 | 性行為への不安や恐怖心が引き金になり、勃起や射精が生じる |
衰弱性早漏 | 加齢によって射精を起こす筋肉が弱り、射精を我慢できなくなる |
それぞれの原因について見ていきましょう。
過敏性早漏
過敏性早漏とは、陰茎やその周辺の皮膚の感覚が過度に敏感であることが原因で、わずかな刺激だけですぐに射精してしまうことです。
以下に当てはまる方は、過敏性早漏の疑いがあります。
- 年齡が若く性欲が強いと思う
- 性行為の経験は少ない
- 包茎(仮性包茎など)である
早漏の原因で最も良く見られるもので、亀頭の粘膜が過敏であることにより生じます。性経験が少なく、勃起力や性欲が強い10~20代に多いタイプといわれています。
膣内への挿入の有無によらず、性行為の時に触られただけで射精してしまうことがあります。特に、包茎状態の方は亀頭が普段刺激にさらされていないため、過敏性早漏になりやすい傾向があるといわれています。
心因性早漏
心因性早漏とは、性行為へのストレスや過去のトラウマが原因となり、交感神経が活発になることで勃起や射精をしてしまうことです。
以下に当てはまる方は、心因性早漏の疑いがあります。
- 性行為や射精において、過去にストレスやトラウマがある
- しばらく性行為をしていない
- 疲れやストレスがたまっている
過去の性行為で早く射精してしまい女性に笑われた経験などが心に残り、「次も早く射精してしまうのではないか」という不安や恐怖心があると交感神経が活発に働きます。
交感神経が活発になると興奮しやすくなり、射精もしやすくなってしまうというのが心因性の早漏です。仕事や人間関係などのストレスでも交感神経が活発化するので、同じように早漏になることがあります。
衰弱性早漏
衰弱性早漏とは、いわゆる加齢が原因となる早漏で、年齢を重ねることで射精を起こす筋肉が弱くなり、射精を我慢できなくなることです。
以下に当てはまる方は、衰弱性早漏の疑いがあります。
- 加齢により筋力や体力が衰えていると感じる
- 仕事はデスクワークが中心で運動不足である
勃起や射精をコントロールするにはある程度の筋力と体力が必要となります。加齢により男性ホルモンの分泌が減ると、射精をコントロールする(我慢する)射精管閉鎖筋と呼ばれる筋力が弱くなります。
この筋力が低下すると射精しやすい状態になると同時に射精の勢いも弱めることになります。衰弱性早漏は、男性ホルモンの分泌量が低下する40代以降の方に多く見られます。
早漏とは。
早漏とは、性行為において挿入から射精までにおける時間が極端に短い症状のことをいいます。医学界においても、具体的に「挿入から○分以内が早漏」という明確な定義はありませんが、
・ほぼ毎回、挿入前、あるいは挿入後1分以内に射精してしまうこと
引用:米国泌尿器科学会・AUA・男女両者が性的関係を楽しむために、十分な射精をコントロールできないこと
引用:WHO
などが挙げられます。射精障害の中では最も多くの人が罹患しているとされ、全世界での罹患率は30%、人数にすると7億人もの人が悩んでいるという報告があります。 日本国内で行われたあるアンケートでは、約3.5人に1人、つまり1,300万人の人が早漏であると推定されています。
また、早漏は以下のような悩みをもたらすことがあります。
- 性生活が充実せず、パートナーに満足感を与えられない
- 男性側の自信がなくなり、性行為そのものを望まなくなる
- 性行為を避けるために、恋愛や結婚にも消極的になってしまう
悩んでいるのはこの記事を読んでいるあなただけではありません。
詳しい原因や治療法について見ていきましょう。
早漏を防止する方法、早漏改善について
早漏が生じる主な原因について見てきましたが、「治すためには手術が必要なの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
包茎が原因の場合には手術を要することもありますが、早漏の進行具合や症状によっては、手術をせずとも自宅で簡単にできることや薬の服用により改善・防止できるケースも多いです。
例えば、以下のような方法が挙げられます。
骨盤底筋を鍛える | ケーゲル体操 |
早漏治療薬を服用する | ポゼット、リドスプレー |
早漏防止薬、早漏改善薬を服用する | ポゼット、リドスプレー、ED薬… |
包茎治療をする | 薬剤注入(亀頭強化)、小帯切除 |
ペニスの刺激をコントロールする | スクイーズ法、セマンド法 |
それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。
骨盤底筋を鍛える(ケーゲル体操)
ケーゲル体操は骨盤底筋(肛門を締める筋肉)を鍛える体操です。
女性の尿失禁問題を改善するため、1940年代にこの運動を開発した米国の産婦人科医ケーゲル博士の名前に由来します。
骨盤底筋は加齢や妊娠、出産などが原因で弱り尿や便が漏れることがあるため女性にフォーカスされておりますが、骨盤底筋は勃起に関わる筋肉でもあるため男性も恩恵を得ることができます。
【手順】
- リラックスした状態で椅子に座る(立った状態や、仰向けに寝転んだ状態でも可)
- 約5秒間、お尻の穴と尿道を締める
- 力を抜いて1の状態に戻る
- 2と3を10回程度繰り返す(1日3回程度が目安)
早漏治療薬を服用する
早漏治療薬は、性行為の前に使用することで射精までの時間を伸ばす効果が期待できます。
ここでは、早漏治療薬として一般的に使用されているポゼットとリドスプレーについて簡単に紹介します。
ポゼットは、早漏治療薬「プレリジー」のジェネリック医薬品です。ジェネリック医薬品のためプリリジーと同等の効果を得ることができます。
リドスプレーは、リドカインを主成分とする早漏治療用スプレーです。リドカインは局所麻酔薬として世界中で広く使われている成分で、安全性の高さに定評があります。
それでは、効果や副作用について詳しく見ていきましょう。
ポゼット
薬剤名 | ポゼット |
使用方法 | 性行為の1~3時間前に服用(内服薬) |
有効成分 | ダボキセチン |
効果 | 挿入から射精までの時間の延長が期待される |
作用時間(効果持続時間) | 服用後1~1時間半で効果が現れ、2~5時間程度持続 |
起こりうる副作用 | 頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、口渇など |
早漏は脳内伝達物質であるノルアドレナリンとセロトニンのバランスが崩れることで起こるといわれています。
ポゼットの有効成分であるダボキセチンは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量を増やし、相対的に興奮や緊張を起こすアドレナリンの量を減らします。そのため、セロトニンの不足による過剰な興奮を解消することで射精までの時間を延長する作用があります。
リドスプレー
薬剤名 | リドスプレー |
使用方法 | 性行為の10〜20分前にスプレーを陰茎に噴霧(噴霧薬) |
有効成分 | リドカイン |
効果 | 挿入から射精までの時間の延長が期待される |
作用時間(効果持続時間) | 1回の噴霧で2時間程度持続 |
起こりうる副作用 | かゆみ、かぶれ、発疹など |
リドスプレーの有効成分であるリドカインは、局所麻酔薬として世界中で広く使用されています。
感覚を伝達する神経の働きを抑える局所麻酔効果により感度が低下することで早漏を防ぐ作用があります。注意点として、噴射した後は性行為前に必ずシャワーで洗い流しましょう。洗い流さず性行為に及ぶとパートナーにもリドスプレーの成分が作用し、感度が落ちる可能性があります。
早漏防止薬、早漏改善薬を服用する
早漏の原因によって適する早漏治療薬は異なります。
心因性早漏の方は、ストレスによるセロトニン不足が原因とされるため、セロトニンの量を増やすダボキセチンが適しています。
過敏性早漏の方は、感覚を鈍らせるリドカインが適しています。衰弱姓早漏の方は、ED(勃起不全)を併発している可能性があるため、リドカインとED治療薬を併用すると良いとされています。
これらの薬剤はオンライン診療で処方することもできます。
遠方にお住まいの方や、忙しくて時間の取れない方、早漏のようにデリケートな悩みを直接相談することが恥ずかしいという方は、一度オンライン診療を検討してみましょう。
早漏治療として包茎治療をする
早漏と包茎には因果関係があるとされます。
包茎とは、勃起しても亀頭が完全にむき出さない状態のことをいいます。
包茎の方は亀頭が包皮に守られていることから刺激に対する耐性が弱く、性交時の刺激に敏感になることで早漏になりやすいといわれています。
具体的な治療法としては、ヒアルロン酸を注入して亀頭を大きくする薬剤注入(亀頭強化)法や、性交時に刺激を受ける包皮小帯部(俗にいう「裏スジ」)を切除する包皮小帯切除法などがあります。
気になる方は一度クリニックで診断を受けることをおすすめします。
ペニスへの刺激をコントロールする
薬や包茎治療以外の早漏治療法としては、自分の意思で射精をコントロールするトレーニング方法があります。
射精するタイミングをコントロールできると早漏は改善することができます。
特に、刺激に対して過敏になっている過敏性早漏の方に効果的とされています。
メリットとしては骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操と同じく、お金をかけずに自宅で簡単にできるということが挙げられます。
ここでは、自分ひとりでもできるスクイーズ法と、パートナーと協力して行うセマンズ法について具体的に紹介します。
スクイーズ法
スクイーズ法は1人でもできるトレーニングです。具体的な方法は以下となります。
【手順】
- 自慰行為を行い、射精直前までペニスを刺激させる
- 射精しそうな瞬間に亀頭の付け根あたりを4秒程度おさえ、射精を我慢する
- 1回の自慰行為につき、1と2を4~5回ほど繰り返す
射精直前まで刺激を与え、射精をコントロールすることで早漏の改善を目指す方法です。
2番目は、慣れてきたら手を離してしまっても大丈夫です。いずれにしても、射精しないようにコントロールすることが大切です。
射精をうまく我慢できない場合は、亀頭の根元を人差し指と親指で圧迫するようにおさえると、うまくいきやすいとされています。
セマンズ法
セマンズ法はパートナーと行うトレーニングです。具体的な方法は以下となります。
【手順】
- ペニスをパートナーに刺激してもらう
- 射精しそうな瞬間に刺激することをやめてもらう
- 1と2を4~5回ほど繰り返してから射精する
最初は手で刺激してもらい、手の刺激に慣れてきたらローションを使用します。
ローションの刺激にも慣れたら女性に騎乗位をしてもらい、その刺激に慣れるまで行うといったように、刺激を与える方法を変え、徐々にステップアップしていくことで射精までの時間を延ばすことができます。
短所としては、パートナーのいない方は実行できず、パートナーの性的フラストレーションが大きくなる場合があり、思うように効果が出ないといったことがあります。
早漏対策で性行為中に出来る5つのこと
- いつもより前戯に時間をかける
- 厚手のゴムをつける
- 深呼吸などで、リラックスする
- 体位を変える頻度を変えてみる
- 骨盤底筋に力を入れる
いつもより前戯に時間をかける
パートナーに満足してもらうためには、前戯に時間をかけることも早漏対策の一つです。
性行為において女性の性的興奮を高めてあげることは大切なことです。
そのためには、前戯を長めにしてあげるとよいでしょう。
また、十分な前戯を行わない状態での性行為は女性にとっては苦痛でしかなく、性器が損傷を受けることもあり、関係の悪化にもつながるので注意が必要です。
仮に早漏によって挿入から射精までの時間が短かったとしても、前戯をしっかり行うことで女性側の満足度は高くなります。
また、前戯中に勃起状態を維持しておくことで十分な硬さを保つことができ、射精までの時間が長くなることにより早漏が改善される可能性もあります。
厚手のゴムをつける
過敏性早漏の方は、ペニスへの刺激を低減するために厚手のコンドームをつけることで、早漏改善につながる可能性もあります。
厚手のコンドームは薬局などでも購入することができますが、恥ずかしい方は通販で購入することもできます。コンドームの厚さは0.01mm台の薄いものから0.1mm台の厚いものまで色々とありますが、目安としては0.1mm以上のものであればペニスへの刺激が低減され、射精までの時間が長くなることで女性も満足できるでしょう。
パートナーの男性が早漏で悩んでいる場合、女性が購入して性行為の際に装着してあげることで男性のプライドを傷つけずに早漏改善ができる可能性もあります。
深呼吸などで、リラックスする
性行為中は、リラックスした気持ちで行うことが大切です。
深呼吸などで緊張や焦る気持ちを和らげ、リラックスした状態で挿入することで、性的刺激を抑えることができます。
緊張や焦りは相手の女性側にも伝わり、膣からの潤滑油も出づらくなってしまいます。性行為への慣れも関係しますが、沈黙した状態は緊張を招くので、優しく言葉を交わしつつ行うとよいでしょう。
また、早漏対策としては挿入後すぐに動かさないこともポイントになります。
挿入後はどうしてもペニスが敏感になっているので、少しの刺激で過剰に反応してしまうことがあります。挿入後はしばらく動かさず、ペニスが刺激に慣れてから動かすようにすると早漏を対策することにつながります。
体位を変えてみる
性行為中の体位を変えることで、射精のタイミングを遅らせることができる可能性があります。
男性が女性に覆いかぶさる正常位は女性にも人気が高い体位ですが、前傾姿勢になるため男性の交感神経が活性化しやすい体位となります。
通常よりも早くオーガズムに達する可能性があるため、正常位は早漏の方にはおすすめできない体位となります。
それに比べ、後側位(俗にいう「寝バック」)や座位といった体位はペニスへの刺激が少なく、射精しにくいと言われていますので、こういった体位に変えてみることもおすすめです。
また、性行為中に体位を変えることで性行為のマンネリ解消の効果も期待できます。いつも同じ体位ばかりという方は、変えてみるとパートナーに喜ばれるかもしれません。
骨盤底筋に力を入れる
性行為中においても、骨盤底筋に力を入れることは早漏対策への効果が期待できます。
骨盤底筋は内臓の支持、姿勢の維持、排尿・排便のコントロールのほかに、ペニスへの血流を送ったり止めたりする役割をもち、勃起を維持するための筋肉でもあります。
骨盤底筋を鍛えることで筋肉の衰えにより生じる衰弱性早漏の改善だけでなく、勃起力の向上やED改善にもつながり、尿漏れといった加齢により現れる症状の防止も期待できます。
そのためには、普段からゲーゲル体操で骨盤底筋を鍛えることで、性行為中においても意識する箇所がわかるようになります
射精しそうになったら自分の肛門や筋肉に意識を向けることで、性的興奮を抑えて射精までの時間が長くなることにより、早漏対策につながります。
早漏の予防法はあるの?
現在は早漏ではないという男性においても、加齢や運動不足、後述する間違った自慰行為などにより早漏になってしまう可能性はあります。
最初に戻りますが、早漏は全世界で7億人の人が悩んでいるという報告もあり、射精障害においては最も罹患者が多いのです。
そして、自分だけではなくパートナーのためにも、早漏の予防法について知っておくことは大切です。
ここでは簡単にできる予防法として、自慰行為を見直すこと、食事や食べ物を意識すること、睡眠の質を高めることの3点を紹介します。
特に食事や睡眠の質を高めることは、早漏だけでなく体や精神の健康状態全てにおいてメリットがありますので積極的に取り入れてみましょう。
自慰行為(オナニー)を見直す
早漏を予防するためには、間違った自慰行為をしないことが重要です。
例えば、作業のように自慰行為を終わらせる方も多いですが、脳が早く射精することを覚えてしまうことで射精までの時間が早くなり、実際の性行為においてもすぐに射精しやすくなってしまいます。
自慰行為でも、できるだけ長く勃起状態を維持することを意識しましょう。そのためには、前述したスクイーズ法を試してみることもおすすめです。
食事・食べ物を意識する
早漏に限らず、病気と食事には大きな相関があります。早漏にはセロトニンが効果的であると先述しましたが、効率良くセロトニンの生成を促す「トリプトファン」という必須アミノ酸は、早漏予防のために積極的に摂取したい栄養素の1つです。
参考までに、トリプトファンが豊富に含まれている食べ物を紹介します。
【トリプトファンが豊富な食べ物】
- 卵
- バナナ
- 大豆製品
- 赤身肉(レバーなど)
- 乳製品
- ナッツ類
朝にバナナとヨーグルトを食べるだけでも効果が期待できます。
睡眠の質を高める
睡眠不足は様々な健康障害を引き起こすとされていますが、自律神経のバランスが崩れることで早漏の原因になってしまうこともあります。
また、寝ている間に分泌されるテストステロンの分泌量が減り、勃起力の低下(ED)につながることもあります。
早漏予防のためには、十分な睡眠を取るだけではなく、睡眠の質を高めることも大切です。
寝付きを良くし、ストレスを溜め込まないために毎日適度な運動を心がけるなど、生活習慣を改善することも早漏予防に効果的です。
早漏は改善できるので、オンライン診療で医師に相談しよう
早漏は世界中で多くの男性が抱える悩みの一つです。射精のタイミングをコントロールできず、早く射精してしまうことでパートナーとの関係も悪化するなど、悩む方は後を絶ちません。
しかし、早漏は原因を把握し、適切な対処や治療をすることで改善できる可能性が高い症状です。
早漏治療で治療薬の服用を希望する場合、専門クリニックを受診し、医師の処方を受けることが必要となります。医師と顔を合わせて診察をしてもらうことに抵抗があるという方は、オンライン診療(電話診療)を検討しましょう。
電話診療であれば顔が見えないので恥ずかしさも軽減されます。また、診療については男性医師が担当するクリニックも多いのでご安心ください。