帯状疱疹(たいじょうほうしん)の症状・原因

帯状疱疹は、水疱瘡の原因と同じ水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気です。水疱瘡にかかると、治った後もウイルスが症状を出さずに体内に潜伏し続けます。そのため、水疱瘡にかかったことがある人は、帯状疱疹を発症する可能性があります。ここでは、帯状疱疹の発症メカニズムについて詳しく説明します。また、かかりやすい人や、再発するのか、他の人にうつるのか等についても説明します。

帯状疱疹とは?

出典:日本皮膚科学会公式HP

痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、この時に主に皮膚にでた発疹から神経を伝わって所属の後根神経節内にウイルスが潜伏するといわれております。後根神経節内に潜伏感染していたウイルスが何らかの誘因で、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。誘因として過労や悪性腫瘍の合併を含めて宿主の免疫機能の低下、手術や放射線照射などがあげられます。ウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を通って表皮に達し、表皮細胞に感染しそこで更に増殖して、赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。他のヒトから感染して帯状疱疹になるわけではありません。(日本皮膚科学会公式HPから引用)

出典:日本皮膚科学会公式HP

帯状疱疹は、水疱瘡の原因と同じウイルスによって引き起こされる皮膚感染症です。帯状疱疹とも呼ばれています。体の片側に現れる、痛みを伴う発疹が特徴です。発疹は水疱状で、最大4週間続くことがあります。その他の症状には、発熱、頭痛、悪寒、全身倦怠感などがあります。人によっては、発疹が出る前に患部に痛みを感じることがあります。

帯状疱疹の症状

前述したとおり、帯状疱疹の主な症状は、痛みを伴う発疹です。発疹は顔や他の部位に広がることもありますが、通常は体の片側に現れます。その他、発熱、頭痛、悪寒などの症状がみられます。人によっては、発疹の部分にかゆみや灼熱感を感じることがあります。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は、水疱瘡の原因と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされると考えられています。水疱瘡にかかった後、ウイルスは体内で休眠状態となり、神経細胞の中で何年も生き続けます。このウイルスが何らかの原因で活性化し、帯状疱疹を引き起こすことがあります。なぜウイルスが活性化するのか、その正確な原因は分かっていません。

帯状疱疹が発症する部位

帯状疱疹は体幹や顔、首に最もよくみられます。免疫力が低下している場合、発疹が腕や脚などの他の部位に広がることがあります。

帯状疱疹の診断方法

臨床症状で一般に判断できますが、時に虫刺され、接触皮膚炎または単純ヘルペスなどの疾患と鑑別を要することがあります。発疹の塗抹標本をアセトンで固定後、ギムザ染色を行って、ウイルス性巨細胞をみる方法が簡単ですが、単純ヘルペスとの鑑別は、抗VZVモノクローナル抗体によるウイルス抗原の検出を行います。 血清診断では補体結合反応が一般的で、ペア血清で血清抗体価の上昇が診断の一助となります。皮疹の出現した日を第1病日とすると帯状疱疹では第4、5病日あたりから抗体価の上昇がみられます。(日本皮膚科学会公式HPから引用)

出典:日本皮膚科学会公式HP

帯状疱疹の治療方法

年齢が若いから軽症ですむとはかぎらず、その患者の抵抗力により重症度が決定されます。初期に軽症であっても、無理をすることでいくらでも重症化する疾患です。帯状疱疹は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を出来るだけ早期に開始することが大切です。重症なものは、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注が必要です。局所は、初期では非ステロイド抗炎症薬、水疱期以降では細菌二次感染を防ぐために化膿疾患外用薬、潰瘍形成したものでは潰瘍治療薬を貼布します。(日本皮膚科学会公式HPから引用)

出典:日本皮膚科学会公式HP

帯状疱疹の予防方法

帯状疱疹は、水痘(すいとう/水ぼうそう)を発症したことのある人なら誰でもかかる可能性のある病気です。「医学解説」で述べたように、帯状疱疹は免疫力が低下することにより、水痘を引き起こした水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症します。そのため、免疫力低下の原因となるストレスや、過労を避けることがその予防につながります。規則正しい生活、バランスのとれた十分な食事、心の安静を心がけてください。(社会福祉法人恩賜財団済生会公式HPから引用)

出典:社会福祉法人恩賜財団済生会公式HP

50歳以上の方については、ワクチンを接種することで、発症予防、重症化予防が期待できるとされています。 (東京都福祉保健局公式HPから引用)

出典:東京都福祉保健局公式HP

帯状疱疹のワクチンとは

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスの弱毒化したものを1回だけ注射します。ワクチンを注射しても、帯状疱疹の発症を完全に抑えられるわけではありません。しかし、重症化するリスクが軽減されると考えられています。

帯状疱疹はうつるのか

帯状疱疹そのものは伝染性ではないため、人から人へ伝染することはありません。しかし、水疱瘡にかかったことのない人は帯状疱疹を発症している人の水疱に触れると、水疱瘡に感染する可能性があります。水疱瘡にかかったことのない人は可能な限り帯状疱疹の人との接触を避けるなど、予防策を講じることが重要です。

帯状疱疹は再発するのか

帯状疱疹が再発する可能性はあります。ストレス、加齢、免疫力の低下などの要因で、休眠していたウイルスが再び活性化し、帯状疱疹になることがあります。 再発の場合は、以前に体がウイルスに触れているため、発疹や症状は最初の発生時よりも軽くなるといわれています。抗ウイルス治療や薬物療法により、症状を軽減することができます。

帯状疱疹についてまとめ

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる病気です。ストレスや加齢、免疫力の低下などの要因で、休眠していたウイルスが再び活性化し、帯状疱疹を発症することがあります。症状が出た場合には、速やかに医師の診断を受けることが重要です。